学校日記

子どもを叱るとき

公開日
2017/06/27
更新日
2017/06/27

校長室より

真宗大谷派僧侶でフリーアナウンサーの川村妙慶様のお話を紹介します。

 子どもを叱るとき、真正面から、上から目線で、「あんたどういうことなの」って叱らないで下さいね。子どもにも「我」がありますからそうやって叱られると、「逃げよう」とか「何か言い訳をしよう」「嘘をつこう」と考えるものです。そうではなくて、叱るときは何か考えさせるきっかけや逃げ場を与えてやって欲しいんです。真正面からではなく、横からいきましょう。(〜中略〜)
 ケンカは相手に勝つためにするんじゃないんです。「勝とう」と思うと、ついつい感情的になって言葉が強くなってしまいます。そして負けた人は憎しみしか残りません。大切なのは相手にこちらの気持ちを分かってもらうことでしょ。だから、怒りの感情ではなく、分かってもらえるような言葉を届ければいいのです。
 たとえば、悪いことをした子どもに、「あんた、何ていうことをするの!腹立つわ!」と、怒りをぶつけると、子どもは怒られたということに対して、「クソー、いつかこの仕返しをしてやるぞ…」と考えるんです。その感情は怒られた相手に向かうこともあれば、自分より弱い者に向かうこともあります。それがいじめの構造です。ですから怒りだけではなく、悲しみを伝えましょう。どうしても悪いことをしてしまう子どもに対して叩いたり言葉の暴力を出すのではなくて、包み込むんです。(〜中略〜)
 「お前はそんなことをするために生まれたんじゃないんやで。ほんまはお前は人に優しさを伝えるんやで。私はお前がそういうことをしてしまうことが悲しい」と、悲しみを伝えましょう。すると、子どもは「俺、二度とせんとこう」と思います。「自分が今までどんな迷惑をかけてきたか」ということより、「どんだけお世話になってきたか」ということを知った子どものほうが、後々それに対して感謝をするというアンケート調査が出ています。これは京都府の調査結果なんですが、自分のうっぷんをさらけ出すんじゃなくて、嬉しさや喜びを書かせたほうが感謝に繋がるということです。
 自分の気持ちを分かってもらえないと、つい私たちは怒りを出してしまいます。怒りではなく、「お前は本来そんな子じゃないんだよ」というふうに褒めて、認めてあげたほうが子どもは育つと思うんですね。
               みやざき中央新聞「問うて聴く心」より