本日まさに卒業式その10
- 公開日
- 2023/03/20
- 更新日
- 2023/03/20
全学年
式辞
日ごとに春の光が力強さを増し、桜のつぼみももう間もなくほころぶ頃となりました。今日、晴れて卒業式を迎えた21名の六年生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
皆さんは、平成29年4月に入学してから今日まで、1,160日小学校に通いました。私たちは、よく「一日を過ごす」と表現しますが、この表現を使うと「1,160日を過ごした」ということになります。この表現でも特に違和感はありませんが、皆さんに伝えたいのは、「過ごす」ではなく「積み重ねる」と言い換えてみてほしいということです。「過ごす」だと時間が横に過ぎていき、昨日、今日、明日と一日の単位ごとに時間が過ぎていく印象を受けるのではないでしょうか。それに対し、「積み重ねる」だと、時間を縦に積み上げていき、昨日の上に今日、今日の上に明日と、徐々に高くなっていく印象を受けるのではないでしょうか。今の皆さんの姿は、突然にできたものではありません。一日を一つのブロックに例えると、1,160個のブロックを積み重ねてきたことになります。その積み重ねで、今の皆さんが存在しているのです。
皆さんは、6年間の小学校生活のうち、半分を占める3年間をコロナ禍のもとで過ごしました。これまでに前例のない3年間は生涯忘れ得ぬものになることでしょう。4年生のスタートは、4月・5月の長い臨時休校が明けた後の6月でした。学校が再開しても、密を避け、友達との距離を取り、マスクを外せないという制約の多い学校生活へと一変しました。高学年の三年間をこのような状況の中で過ごさなければならず、我慢したことや諦めたこともたくさんあったことでしょう。でも皆さんは決して後ろ向きになることなく、明るく元気に学校生活を送ってきました。今できることに全力で取り組もうと、さまざまなことにしっかりと向き合ってきました。そして、「やるときにはやる」という底力をもった西浦南小学校のリーダーへと成長していきました。
今年度の運動会の後、5年生は運動会を振り返り、作文を書きました。ある5年生の作文の一部を紹介します。
6年生との一輪車の合同練習では、とても助けてもらいました。ぼくのペアの6年生は、ぼくのスピードに合わせてくれました。大車輪で手 をつないだ六年生の人は、手が離れそうになったら握ってくれたり、ぼくが引っ張ってしまってもキープしてくれたりしました。運動会当日は、できるだけ引っ張ってしまわないように、自分でバランスをとって、速すぎず遅すぎず進むことに気をつけて、無事に乗り切ることができました。ぼくは今年の一輪車で、いろいろな人に支えられました。来年は逆にぼくが乗れない子を支えてあげて、技を成功させたいです。
この作文には、皆さんが心優しく、頼もしいリーダーだったことが表れています。そして、皆さんの背中を見て、6年生になったら自分が支える立場になろうと、目標を抱いていることがうかがわれます。皆さんは下級生に大切なものを残してくれました。
私は、「普通の日こそ大切に」と繰り返し話してきました。これまで皆さんが学校に通った1,160日のうち、ほとんどは普通の日です。学校へ来て、授業を受け、休み時間には友達と遊び、給食を食べて掃除をし、午後も授業を受けて家へ帰る。ほとんどがこういう毎日の繰り返しです。だからこそ、普通の日を大切にすることで、たまにやってくる特別の日に自分を輝かせることができるのです。今日、まさに皆さんはその特別の日を迎えています。普通の日を、一日一日と大切に積み重ねてきたからこそ、今の皆さんの立派な姿があります。先ほど手渡した卒業証書は、一日一日を積み重ね、小学校での6年間の学びを修了したことの証です。1枚の紙ではありますが、この証書の中には、6年間の楽しかったこと、うれしかったこと、がんばったこと、悔しかったこと、悲しかったことなど、さまざまな思い出が織り込まれています。さらに、今日まで皆さんを大切に育ててくださった保護者の方々、皆さんの成長を温かく見守ってくださった地域の皆さん、6年間のがんばりを見届けてきた西浦南小学校の先生たちの熱い思いがいっぱいに詰まっています。この卒業証書を手にしたことに誇りと自信をもって、新しい一歩を踏み出してください。そして、これからも、普通の日を大切にして、一日を丁寧に積み重ねていってください。
保護者の皆様、お子様のご卒業、まことにおめでとうございます。期待と不安を胸に校門をくぐった入学式からはや6年、このように立派に成長されたお子様の姿に、感慨もひとしおのことと存じます。お子様もいよいよ中学生となり、多感な時季を迎えます。楽しみの多い反面、心を悩ませることも多々あることと思いますが、温かく見守っていただきますようお願い申し上げます。
6年生の皆さん、いよいよ別れのときが迫ってきました。西浦南小学校が皆さんの母校であること、皆さんのことをいつまでも応援している人がいることを忘れないでください。
皆さんの将来が、輝かしいものであることを願って、式辞といたします。