校長式辞
- 公開日
- 2022/03/18
- 更新日
- 2022/03/18
校長室
厳しい冬の寒さも和らぎ、校舎を包む陽の光や校庭で芽吹く草木から、暖かい春の到来を感じます。
本日、保護者の皆様、そして在校生が集い、小鈴谷小学校の卒業式を挙行し、卒業生の門出を一緒に見送ることができることに、教職員一同、大きな喜びを感じています。
さて、小鈴谷小学校を巣立つ二十一名の皆さん、卒業おめでとう。お家の方に手を引かれ、小さな体に真新しいランドセルを背負い、校門をくぐった入学の日から、早いもので、六年もの年月が流れました。そして、この六年で皆さんは、大変立派に成長しました。子どもの成長を心から願う親にとって、今日の皆さんの立派に成長した姿は、何にも代えがたい大きな喜びです。今日は、お家の方に、これまでの感謝と新たに始まる中学校生活への希望をこめて、「ありがとう」と「これからもよろしくお願いします」と自分の言葉で、しっかりと伝えてください。
そして、今、一人一人に卒業証書を手渡しました。この卒業証書には、この六年間、小鈴谷小学校で仲間と共に学び、経験したこと、そして、数え切れないほどの多くの思い出が詰まっています。
そんな大切な時間の中で、特にこの二年間は、感染症予防のために、様々な行事や活動を中止・縮小しなければならず、皆さんに多くの我慢や不便をかけてしまいました。特に、五年生の時には、小学校生活の大切な思い出になるはずの野外教育活動を中止にしなければならなかったことは、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
しかし、こうした状況においても、皆さんはとても明るく、元気いっぱいに学校生活を送ってくれました。とりわけ、最高学年として過ごしたこの一年は、とても印象深い一年になったことと思います。
この一年を振り返ってみると、五月に緊急事態宣言が再び発令され、楽しみにしていた修学旅行が、十二月へと延期になってしまいました。しかし、この五月には、新しい行事である「ふれあい遠足」を行うことができました。児童会執行部の皆さんやカラー班のリーダーである六年生のおかげで、みんなでお弁当を食べたり、ゲームをしたりして、楽しい時間を過ごすことができました。
また、十月には、運動会を無事に行うことができました。赤組、白組ともに全力を尽くし、最後まで優勝の行方がわからない、大変白熱した戦いを繰り広げてくれました。最後まで、全力を尽くして競う六年生の勇姿は、今でも私たちの目に焼き付いています。
そして、十二月。六月から延期になっていた修学旅行に、無事に行くことができました。友達と初めて寝食を共にすることができ、小学校生活の大切な思い出になったことと思います。私にとっても、昨年度、辛い思いをさせてしまった六年生と、一緒に修学旅行に行くことができたことは、この上ない大きな喜びであり、大切な思い出となっています。
また、児童会活動においても、みんなが楽しい学校生活を送ることができるように、新しい企画を考えてくれました。二学期には、東京パラリンピックで注目された「ボッチャ大会」を企画してくれました。みんなが集まって行うことが難しい状況でもあり、ビデオ企画として、工夫を凝らして、楽しく教室で見ることができるようにしてくれました。集まることはできないと諦めるのではなく、どうしたらできるのかと知恵を絞り、工夫を凝らして、見事に実現してくれました。このように、創意工夫をし、果敢にチャレンジする皆さんの姿勢は、今後の小鈴谷小学校の素晴らしい伝統として、後輩たちに引き継がれていくものと信じています。
さて、卒業に当たり、皆さんに大切にしてほしいことをお話しします。それは、鈴渓義塾初代塾長である溝口幹先生が、鈴渓の教育の中でも「恕」「忍びざるの心」として大切にされている「思いやり」と「優しさ」です。
卒業生の皆さんは、最高学年として活躍してくれたこの一年、この「思いやり」と「優しさ」を様々な場面で見せてくれました。特に、カラー班遊びやペア活動では、「思いやり」に満ち、「優しさ」にあふれる態度や表情を見せてくれました。今一度、ペア活動で一年生と活動した時やカラー班活動で困っている子を助けてあげた時の気持ちを思い出してください。一年生に優しくしてあげよう。困っている子がいたら助けてあげよう。下級生が困らないように、自分がみんなのために頑張ろう。そう思って活動していたのではないでしょうか。この気持ちこそが、「恕」思いやりの心であり、「忍びざるの心」人の不幸を見過ごすことはできない心なのです。
人は、一人で生きてゆくことはできません。自分の周りの人々と協力し、支え合いながら生きていかなければなりません。私たちの周りには、困っている人や立場の弱い人もいます。そんな人々に対して、進んで手をさしのべ、助けてあげられる。人として当たり前のことを当たり前にできる。そんな愛にあふれる、温かい心をもった人間に成長してほしいと思います。
この小鈴谷小学校で学んだ、鈴渓の教育の基本である「志」「学ぶ」「情熱」の三つの柱と「恕」「忍びざるの心」である「思いやりと優しさ」を胸に、さらに大きく成長し、「愛」にあふれた人間として活躍してくれることを大いに期待しています。
さて、保護者の皆様。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。今日までの成長の陰には、ご家族の並々ならぬご苦労があったことと推察いたします。そして、皆様のご理解とご協力を賜り、今日の良き日を迎えることができました。職員を代表して、心より感謝申し上げます。
さあ、いよいよお別れの時です。
二十一名の卒業生の皆さんのさらなる発展と活躍を心からお祈りいたします。そして、小鈴谷小学校教職員一同、これからも皆さんを応援し続けていくことを約束し、式辞といたします。
令和四年三月十八日
常滑市立小鈴谷小学校長
村上 正輝